プロマネBlog
マイクロソフトと UML
世の中には、様々な職業がありますが、その社会的な認知度、評価は国によって微妙に違います。
弁護士というと、日本では超難関の司法試験を合格しなければならず、頭脳優秀でいかにもエリートという印象がありますが、アメリカに行くと、その数も多く、職場にもごろごろいるので、日本ほど、弁護士=優秀とか、司法試験合格=頭がいいとか言う社会通念が存在しません。(頭のいい弁護士もいれば、そうでもない人もいる、と言う感じです)
職業軍人は、発展途上国では超エリートですが、先進国では少なくとも「超」の字はとれてしまいます。
比較的どの国でも安定した高い評価を得ている職業は、やはり医者でしょうか。どの国でも、大学の最難関は大抵医学部です。
ちょっと意外なのが、外交官で、筆者が学生の頃ですと、外交官=花形の職業と言うイメージでしたが、アメリカなどでは、僻地に派遣される公僕(公務員)と言う感じで、あまり人気の職業とは言えません。(家族を連れて遠隔地に住まなければならない、というのが大きなマイナスポイントです。アメリカで転勤とかと言う話になると、離婚騒動に直結しかねませんし、組織が昇進、昇給と抱き合わせで転勤を提案しても、退社を選ぶ社員は珍しくありません。また、公務員そのものが、日本と比べ不人気です。)
さらに意外なのが、商社マンで、「総合商社」そのものが英単語になっているほどなので、世界的に認知度抜群の高評価の職業かと思っていましたが、知り合いに聞くと、案外そうでもなく、国によっては、(特にその国の知識階級から)軽蔑の対象になっている所さえもあるそうで、プライベートでは勤務先を表に出さないよう注意している場合もあるそうです。
さすがにここまで行くと、何かやったんじゃないか、と勘ぐりたくなります。(シャイロックのようなイメージか、あるいは旅恥系か・・・)
マイクロソフト と UML
今年6月、フロリダ州オーランドで開催されたマイクロソフト社主催の開発者向けの技術会議でちょっとしたハプニングがありました。
総帥ビル・ゲーツ氏が基調講演の中で、ついうっかり「次期Visual Studio 10で、UMLをサポートする」と発表してしまったからです。
ちなみに、ついうっかり、と言ったのは、周りのスタッフが、ゲーツ氏の発言を聞いて大慌てし始めた事からの推測です。
ビル・ゲーツ氏の講演が終わって、次の質疑応答のセッションになると、スタッフたちは、騒然となった会場からの食いつくような質問に、しどろもどろになって答えながら、最終的に、次期Visual StudioでUMLをサポートする事を公式に認めました。
なぜ、会場の開発者たちが大騒ぎしたかと言うと、それまでマイクロソフト社はオープン・スタンダードが大嫌いな会社として非常に有名だったからです。
従来のVisual Studioでも、独自路線を貫き、マイクロソフト社内では、UMLの事を密かに「Unwanted Modeling Language (いらないモデリング言語)」と呼んでいたほどで、 反UML勢力の代表的な存在でした。
このマイクロソフト社の方針の転換の背後には、極めて現実的な判断があったと言われています ーー というのも、世界のWindows用アプリケーションの70〜80パーセントはUMLを使って設計されていると言われており、そのWindows用開発ツールでUMLをサポートしないのは、開発者に取って極めて不便な状況だったからです。
さて、このビル・ゲーツ氏の発表以降、マイクロソフト社はUMLだけでなく、OMGのBPM標準もサポートする事を公表しました。
そして、この9月にはOMGに正式に加盟し、いくつかのワーキンググループで極めてアクティブかつ主導的な役割を演じ始めています。
これだけ急激にアクティブになるのは、「いらないモデリング言語」と言いながらも、恐らく内部では、標準化の動きが相当気になってたんだろうな、とついつい邪推したくなります。
洋の東西を問わず、組織の方針と個人の指向が食い違う事はよくある事ですが(社長でもない限り常におこります)、プロフェッショナルな人ほど、組織の方針の変更に対する気持ちの切り替えがうまいと思います。
マイクロソフト社の、反UML、反OMGの姿勢から、親UML、親BPMへの切り替えは、さすがプロと言うべき転換でしょう。
なお、ビル・ゲーツ氏が、本当にうっかりだったのかは、部外者には分かりません。
少なくとも、彼のスタッフ達に取っては、この場での発表は驚きだったようです。